全世界2000万部突破の『7つの習慣』翻訳、
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ジェームス・スキナー待望の最新刊!
総額2000億円以上を管理する金融グループを創立し、
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ジェームス・スキナーが「今」の日本経済の闇を切る!
経営コンサルタント、社会・経済評論家として世界的に知られる著者が
……など、政府が絶対あなたに知ってほしくない
真実をわかりやすく解説。
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今回は特別に発売直前の『略奪大国』(フォレスト出版)の序論を全公開します!
日本の現状はヤバイ。
これは誰もが、曖昧に分かっていることだろうし、また何かと不安に思っているはずです。
景気が悪い。
政府は借金だらけだ。
社会保障が崩れている。
先行きが読めない。
最近になって、こういうことがテレビ番組や週刊誌の誌面を賑わしています。
しかし、なぜこうなったのか、本当の問題はどこにあるのか、どのようにすればこの状況から脱出し、日本の将来の繁栄を築くことができるのかとなったとき、納得できる説明もありませんし、国民が煙幕にまかれた気持ちをまぬがれないのでしょう。
あれほど日本が大きく発展し、世界二位の経済大国にまで発展した時代と何が違うのでしょうか。どこで道を誤ってしまったのでしょうか。これは自然に起こる資本主義の行き詰まりなのでしょうか。それとも、頭の悪い官僚たちが作り出した悲劇なのでしょうか。
本書を読み終わるまでにその答は明確になるでしょう。
と同時に、三つの簡単な原則を守るだけで、脱出できる状況だということもはっきりと分かるようになるでしょう。
この話を読む途中で、腹を立たせることもあるだろうし、また自分の思いや心を見直すことにもなるかもしれません。
なぜならば、政治はけっきょくのところ、国民ひとりひとりの思いと哲学を現しているにすぎないからです。
そうです、日本の現状はあなたの心からスタートしているのです。
これは、1050兆円の貯金が盗まれた物語であり、史上空前の犯罪ストーリーであり、また政治と経済の原点を思い出す警告でもあります。
農民が都会人からお金を盗もうとし、老人が若い人からお金を盗もうとし、貧しい人がお金持ちからお金を盗もうとする壮大なドラマなのです。
19世紀のアメリカの経済発展、世界経済大恐慌、30年代のニューディル政策、日本のバブルと崩壊、サブプライムとリーマン・ショック、ギリシャの債権危機、日本が直面している財政破綻が大河小説のように繰り広げられているのです。
この旅路に、私たちはイタリア生まれの詐欺師に出会い、経済を放置する中央銀行の官僚や無意味な規制を作る政治家にも会います。また、日本を略奪大国に導いたイギリスの経済学者にも出会います。
そして、三世紀にわたり、二つの思想と哲学が衝突し、その片一方が圧倒的な勝利をおさめ、これから進むべき道を照らしてくれるのです。
次から次へと衝撃的な事実が浮き彫りにされていきます。そして、下手な政治家や経済学者よりも、その実態が鮮明に見えるようになるのです。
本来、このような本を書かないで済めば、それにこしたことはありません。
しかし、あまりにも日本の現状が悪く、そして社会と政治の議論があまりにも的を外しているから、これ以上黙って見過ごすことができなくなりました。インサイダーの立場を持つ人が、黒幕とカラクリのすべてを暴く必要があるのです。
そして、日本を愛していればこそ、この本を書かなければならないという結論にいたりました。
途中で厳しいことも言いますが、それは真実だからであり、自由で、幸せで、皆が繁栄できる社会を築く上で必要なことだから、そう言うのです。
本書は社会議論の大きな起爆剤になり、日本が正しい政治哲学と経済理論に基づき、もう一度楽園として栄えることを願ってやみません。
日本を愛する戦略家
ジェームス・スキナー
2011年11月11日
※本書は、経済を扱うものですから、ところどころに数字が登場することになります。当然ながら、これらの数字が刻々と変わっていますし、朝刊で読んだばかりの数字と異なることは常でしょう。しかし、大切なのは、その具体的な数字ではなく、その数字が示してくれる原則なのです。そして、その原則は、永遠に変わることがないのです。別当の記載がない場合、日本の予算の数字は平成23年のものです。
ボローニアの東南、アドリア海から20キロほど内陸に入った所に、ルーゴという小さな集落があります。エステ城という名の砦を中心に、麦畑や葡萄園が広がっています。
1882年に、この町にカルロ・ポンジという男の子が生まれました。
ローマ大学に入学し、勉強もせず、四年間バーやオペラ座で遊び惚けてから、21歳のとき新世界に向かいました。スリムで、口ヒゲを生やす伊達者で、弁も立ち、冒険心があり、人を説得できる性格なので、大きな夢を持つ青年の姿がそこにありました。
ボストンに渡る船で、持ち金をすべてギャンブルに注ぎ込み、2ドル50セントの現金でアメリカに到着。
しばらくして、カナダのモントリオールに引っ越し、ザロシー銀行の窓口に就職しました。しかし、間もなくしてその銀行が財政難に陥ってしまい、創業者のザロシーが、お客様の預金をすべて奪ってメキシコに高飛びしました。
一文無しになったポンジが、この状況から脱出する方法として考え出したのは犯罪でした。お客様の事務所を訪れ、人がいない隙を狙って、423.58ドルの小切手を偽造しました。
たちまち警察に逮捕され、三年間カナダの刑務所に入りました。
釈放されてから、ポンジは結婚し、アメリカに戻り、ビジネスの道に入ろうとしましたが、けっきょくは失敗。
それから数週間後、ポンジがすごいことを思いつきました。
それは、ある投資手法で、一攫千金が狙えるというものだったのです。
当時、郵便局が「国際返送クーポン」というものを発行していました。
郵便局でこのクーポンを買って、手紙と一緒に送付すると、海外で手紙を受け取った相手が、そのクーポンを現地の郵便局に持って行くと、切手と交換し、返事が出せるというしくみでした。
しかし、クーポンは送る国の郵送費のものを購入するのに対して、切手は受け取った人の国からの郵送費のものが発行されます。
第一次世界大戦後のイタリアは、通貨の価値が暴落し、国際郵送費は非常に安くなっていました。
そこで、ポンジが考えたのは、イタリアでこの国際返送クーポンを大量に購入し、アメリカで切手に変換し、その切手を換金すれば、大きな利益になるということだったのです。
ポンジが友達に声をかけ、「この手法を使って、90日間であなたのお金を倍にしてあげるから投資してください」と勧誘しました。
そこで、数人の友人が彼のスキームに投資し、約束通りの支払いを受けました。1,250ドルの投資に対して、750ドルの利息を付けて、返されたのです。
山火事のように、ポンジの話が口コミで広がりました。
ポンジは、アメリカ東部の各地方から投資を集めるための代理店も設置しました。
投資家たちが実際に大きな利息を受け取っていたので、投資したいという人が殺到しました。
家を抵当に入れてローンを組んでまで、投資をする人もいっぱいいました。
そして、わずか半年の間で、何百万ドルの儲けをあげたのです。
ポンジは豪邸に移り住み、銀行も買いました!
問題はひとつだけあったのです。
ポンジは受け取っていた投資資金を実際に投資していなかったということです。
国際返送クーポンは一枚も買っていませんでした。
けっきょく、クーポンの換金業務が複雑すぎて、利益にならないと判明したのです。
そこで、ポンジがどうしていたかというと、投資家に利息を支払うために、次の投資家からもらったお金を使っていました。
ネズミ講の誕生でした!
2月にスタートしたポンジのスキームが、7月になると一日25万ドルペースで新しい資金を集めていました。
そこで、何かがおかしいと思った地元ボストンの記者が郵便局に問い合わせたところ、国内外を問わず、国際返送クーポンが大量に買われている事実はないという返事が返ってきたのです。
8月12日にポンジが詐欺罪で逮捕され、すべてが崩壊しました。
そして、投資家たちが全滅したことは言うまでもありません。
ネズミ講とは、次の投資家のお金で、前の投資家に支払いをすることです。
※今でも、英語でネズミ講のことをポンジ・スキムと呼んでいます。