■これから「10年恐慌」が始まる!
アメリカドルは基軸通貨としての価値を失い、今後さらなる保護主義、統制経済へと突入していく。
ユーロもドルに替わる基盤ができておらず、
現在の大恐慌の痛手を直接こうむっている。
リーマンショックに端を発した金融危機は、
カネがカネを回す「金融IT化」「金融工学化」「金融証券化」の結末である。
それゆえに、1929年恐慌とは異質なものである。
これからの10年は「失われる10年」となるのか。
その時、日本はどのような経済システムの中に組み込まれていくのか。
大恐慌後の世界を、浜矩子、高橋乗宣2人の論客が
読み解いていく。
■負の連鎖は世界各国に波及している
大恐慌の津波は、アメリカ本国よりもむしろ欧州各国に直撃していると言っていい。
ユーロがアメリカドルに替わる基軸通貨となり得ないことが、
各国の状況、IMFのこれまでの不始末から言及することができる。
●老衰死のイギリス
サッチャー改革で巻き起こったイギリスバブルは、
ロンドン一極集中で、地域格差を生んだに過ぎなかった。
日本のバブルの轍を踏んだイギリスは「失われた10年」を経験する
●自閉症のドイツ
旧東ドイツのワーカー待遇改善で賃金格差縮小の狙いが、
大恐慌で不透明に。
立ち直りのきっかけを失ったドイツは、
今後ネオナチの台頭の可能性も。
●目立ちたがりのフランス
「フランス・ナショナリズム」はどこまで突き進むのか?
国外から入ってくる企業の締め出しで、
サルコジ政権の実像が浮かび上がる。
●相変わらず身勝手なアメリカ
オバマは自由主義、市場主義に別れを告げるのか?
貯蓄傾向が高まっているアメリカの消費は
確実にブレーキがかかる。
明らかになったドルの崩壊から1ドル=50円時代がやってくる。
強烈な保護主義、統制経済となったとき、日本は生き残れるのか?
暴走する国家は、
今後、迷走する国家へと変貌を遂げる。
さらにリセッションする国、ギブアップする国、
再びランディングを遂げる国……。
「失われる10年」は、我々にどんな教訓を示してくれるのだろうか。
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