国債が日本を国家破産へと導く
2010年度の国債発行額は44兆3000億円。これに対して、税収は37兆4000億円。
国債発行額が税収を上回るのは、終戦直後の1946年以来のことである。
しかも、菅首相は2011年度の国債発行額が
44兆3000億円を超えないようにすると公言している。
これは何を意味するのか?
つまり、日本の財政はすでにデッドラインを超えているということを
公言してしまったということだ。
しかも、問題は新期国債発行額ではない。
国民に騙しのテクニックを使った「借換債」の発行額が問題である。
借換債とは、前に発行した国債(旧国債)を償却、
または償却したことにして新たに発行する国債のことで、
この額は、2010年度ですでに年間103兆円にもなる。
しかも、103兆円は特例会計に計上されているため、
国民の目には見えづらくなっているという点だ。
税収も増えないまま、国債の発行額だけが増えていく現状に、
森木氏は財政のバランスシート上、2013年に国家破産を予測する。
しかし、長谷川氏はもっと手厳しい。
もし2011年度の予算が通常通り可決されなければ、
来年中にも国家は危ないと見ている。
2人の見解の違いはどこにあらわれているのか?
税収アップを狙う消費税10%はあるのか
菅首相は今年の参院選の前に、消費税10%発言をして民主党大敗の原因を作ったとされている。
しかし、長谷川氏によれば、
消費税10%は他党でも議論されていたことであり、
民主党大敗の原因ではないという。
それよりも菅首相が参院選前に発言したということは、
消費税10%を断行する意思のあらわれだという。
なぜならば、鳩山前首相と違い、菅首相は現実主義者であるからだ。
短期的な財政救済策としては、消費税は有効である。
しかし、現在の税収方式、逆進性、税収における地域主権などの問題がある。
消費税を10%に上げる前に、政府がしなければならないことが山積みである。
2人の論者が、消費税の問題に深く切り込んでいく。
日本は破産宣言をすべきなのか?
「破産宣言は国民の権利」と主張する森木氏。一方で、「宣言は簡単だか、その後の方針が必要」とする長谷川氏。
JALが破産した際、破産後の取り組みとして賃下げが必至であったが、
結局なしくずしのまま再生が進められているように、
破産宣言後の苦しい生活を国民は覚悟しなければならない。
その時、決断力と指導力を持った政治家が必要不可欠である。
現在のバラマキをやめ、デフレ下の政策として、
小さな政府づくりを断行できるか。
それにはまず、議員数、公務員数の大幅削減が必要とする両者の論は
一致している。
今年6月のG20で、日本は2015年までに財政赤字を半減させることを公約した。
しかし、他国の公約は2013年。つまり、日本だけが例外とされている。
これは、日本の財政危機は対処不能ということを
国際的な認識とされたからである。
世界の財政赤字への取り組みに日本は取り残されるのか。
アメリカドル、ユーロ、中国人民元に行方は?
日本はギリシャの二の舞になるのか?
さまざまな視点から、日本再生への道を探っていく。
【目次】
- 第1章 無知な政治家どもよ、この現実を知れ
- 日本の厳しい国家予算の現状
国民を騙すために作った借換債
国の会計にはバランスシートがなかった
ノーフレーションかデフレの時代か
財政をさらに悪化させたバラマキ政策
戸別所得補償制度が農協の近代化を阻む - 第2章 2012年度予算ができるのか
- 2012年度予算から逃げた藤井財務大臣
予算案の編成作業に着手しない財務省
政府紙幣には発行の根拠となる法律がない
国家破産は2011年か2013年か - 第3章 国債暴落までのカウントダウン
- 国債を大量に抱えた地方銀行が危ない
なぜ日本国債のマーケットが海外にないのか
郵政の再国営化は亡国につながる
郵貯預入限度額の引き上げは金融社会主義
財政・日本郵政・年金のトリプル破産
どの日本の金融機関が生き残っていくのか - 第4章 ドルと米国の時代の終焉?
- ギリシャ危機が引き金でユーロは崩壊する
財政安定成長協定違反でも処罰されない
ドイツはユーロ圏を手放さない
3ヵ国のゼロ金利は非常事態
米国の会計検査院が出した破産勧告
立ち直って利益を出し始めた米国金融機関
ドルが基軸通貨でなくなる日は来るか
米国の凋落とともにIMF破綻の経済危機
有毒債権の実態を隠してしまったFRB
GDPで中国が米国を追い抜く日
中国を待っているのは内部分裂か対外拡張か - 第5章 こうすれば日本国は立ち直る
- 理想主義者の鳩山前首相と現実主義者の菅首相
菅首相の消費税発言で長期金利が低下
2011年度予算を左右する参院選後の政局
国会改革と公務員改革の道筋はこうだ
日本政府はすぐにでも破産宣言を出すべき
国の将来につながる指導者の決断力と実行力
「隗より始めよ」で議員数を大幅削減せよ
歴史的な中央集権に対する地方分権と地域主義
アジアの市場を見据えた九州への遷都
消費税脱税を避けるにはインボイスの導入を
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