原稿を読みながら、死を迎える患者が抱く魂の痛みというものを考えさせられました。 患者の葛藤、残される家族の気持ち、ケアスタッフのいたわりと、いつか自分自身にも訪れる時、こころ穏やかな人生を感じたい。そんな思いがあふれてきました。
POSTED BY稲川
あなたが「余命1年」と宣告されたら……
人は死を目前にして感じる魂の痛みがあります。それは「身体的苦痛」「経済的苦痛」「社会的苦痛」とは別の、
自分自身の内面に向き合う"人生の意味"を求める心の叫びです。
脳梗塞など3度の死の淵から生還した老ジャーナリストが抱いた、
魂の痛みに救いを求め、終末期医療の現場やこれまでの取材を通じて、
魂の痛みの正体を探るとともに、自身の救いを求める旅に……。
これほど"生と死"を身近に感じることはなかった
2017年、これほど"生と死"を感じる年はないのではないでしょうか。北朝鮮のミサイル発射から、身近なところでは多くの水害、
そして、たくさんの勇気を与えてくれた小林麻央さんの死など、
私たちは「生きることの意味」や「生きていることへの感謝」を
より実感したのではないでしょうか。
死への恐怖は誰にでもあります。
しかし、普通に生きていれば日常はあまり意識することのないことです。
しかし、死はいつ訪れるかわからないものです。
もしあなたが突然、「余命1年」と宣告されたら……
いったいどんな気持ちを抱くのでしょうか。
魂の痛み=スピリチュアルペインを克服する
人は死を意識した時に生じる痛みが存在します。治療後の痛みや後遺症で、
今までできていたことができなくなってしまう身体的苦痛。
治療費やこれからの生活に不安を抱く経済的苦痛、
家族や周りの人に迷惑をかけてしまうという社会的苦痛です。
しかし、患者にとっての最も大きな痛みには、
魂の痛み=スピリチュアルペインというものがあります。
スピリチュアルペインとは、
「死ぬことが怖くて不安でしょうがない」
「孤独でつらい」
「自分の世界が壊れたみたいで生きていることが苦しい」
「自分の生きる意味や価値がわからなくなった」
「なぜ自分だけこんなつらい苦しみを味わわなければならないのか」
「家族と二度と会えなくなると思うとつらい」
というような、心の内面にそった痛みなのです。
誰もが魂の痛みを感じ、乗り越えていく
本書の著者は過去に3度、脳疾患の病気に襲われ、スピリチュアルペインを感じ、
現在も半身不随の後遺症と闘いながら執筆に臨みました。
人はなぜスピリチュアルペインを抱くのか?
そして、それをどう乗り越えて生きていくのか?
また、どう死んでいくのか……。
自分自身も抱いたスピリチュアルペインから脱出を試み、
取材という旅に出たのです。
実際に終末期医療の現場から
聖路加国際病院のチャプレンのケア現場の話を聞き、
かつて氏が取材して出会った人たちから
スピリチュアルペインを乗り越えていきます。
取材には、それぞれが感じたスピリチュアルペインと
それをどう克服していったかを取り上げていきます。
・参議院議員の三原じゅん子さん
・元横浜ベイスターズ投手の故・盛田幸妃さん
・女優の音無美紀子さん
・華道家の假屋崎省吾さん
・俳優の故・萩原流行さん
・元NHKアナウンサーの山川静夫さん
・日産GT-R開発者の水野和敏さん
そして、スピリチュアルペインを乗り越えて安らかに亡くなられた方、
そこから脱出できずに亡くなられた方……
さらに、最期を看取る家族や医療スタッフまで、
スピリチュアルペインというテーマを軸に
悲喜こもごもストーリーが展開します。
あなたも人生に一度は必ず抱く魂の痛み、
「いい人生だった」と言える生き方を考えさせられるはずです。
目次
まえがき 魂の痛みに立ち向かう旅へ第一章 死に直面して初めて気づく魂の痛み
第二章 なぜ人はスピリチュアルペインという痛みを抱くのか?
第三章 スピリチュアルケアに向けての旅
第四章 スピリチュアルケアの現場から心の救いを見つける
第五章 心の安寧と幸福を求めて
あとがき 旅の終わりに
著者について
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1952年佐賀県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務ののち、雑誌編集者に。『月刊文藝春秋』(文藝春秋)、『週刊ポスト』の記者を経て、現在フリージャーナリスト。『月刊文藝春秋』記者時代、同誌2000年12月号で「『バスジャック少年』両親の手記」を発表し、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞スクープ賞」を受賞。
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2度の脳疾患で死の瀬戸際に立たされ、さらに3度目の脳梗塞により半身麻痺を患い、現在も療養しながら精力的に取材・執筆活動を続けている。 著書に『死への扉~東海大安楽死殺人』(新潮社)、『早期発見~「シグナル」を見逃すな!』『お医者さんが教える気になる病気のサイン』(以上、大空出版)、『ある日、わが子がモンスターになっていた~西鉄バスジャック犯の真相』(ベストブック)、『漂流する国ニッポン~3・11大震災・福島原発事故で見えた"誰も責任を取らない国"の実相』(フォレスト出版)などがある。