「お客を追い込む仕事」
サラ金社員が経験した、
貸し手と借り手のお金の修羅場
――貸した私が悪いのか?
1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。
――本書にあるのはすべて私の実体験である。
もくじ
まえがき――「旦那さんのお仕事は?」
第1章 サラ金業、始めました
某月某日 きちんとした会社:どうして私はサラ金に?
某月某日 督促部屋:サラ金ビルの一室で
某月某日 ワル自慢:サラリーマン社会の縮図
某月某日 ストレス解消:債務者は客じゃない⁉
某月某日 ゴミ屋敷:多重債務者宅の特徴
某月某日 綺麗どころ:キャバクラのような貸付フロア
某月某日 審査落ち:信用情報とは何か?
某月某日 「持ち家じゃないか!」:二流サラ金の悲しいさが
某月某日 金策:回収はつらいよ
某月某日 「ぶっ殺すぞ!」:債務者は弱者か?
某月某日 チンピラ、推奨します:マル秘回収テクニック
某月某日 食べ放題:「やつらは金がないんじゃない!」
某月某日 親不孝者:冷暖房の効いた大きな会社に
某月某日 父親のDNA:刺激的でワクワクする毎日
第2章 貸した私が悪いのか?
某月某日 ミニロト当選:常連延滞者のドヤ顔
某月某日 延滞者リスト:よく見りゃ、知り合いの名
某月某日 リボ払いの誘惑:なんで今まで使わなかったんだろう
某月某日 アルファード:高級車でお金を借りに来る人たち
某月某日 スピード出世:翻弄される従業員
某月某日 夜逃げ:首が回らなくなった人の結末
某月某日 在籍確認:「なまった感じでお願いします」
某月某日 手ごねハンバーグ:やさしい老夫婦のおもてなし
某月某日 奨学金:多重債務の典型的パターン
某月某日 元日生まれ:代払い返済を繰り返す道楽息子
某月某日 命を担保にとっておく:団体信用生命保険
第3章 可笑しくて、やがて哀しき…
某月某日 おまとめローン:甘く、やさしい言葉で
某月某日 無人契約機:人の気配はないけれど…
某月某日 何か隠している:ボケていませんよね?
某月某日 二人羽織:コンプライアンスなんて知りません!
某月某日 支店長、喜怒哀楽:心温まる(?)話
某月某日 身売り:二流サラ金からシティグループへ
某月某日 斜陽産業:貸し倒れ件数の増加
某月某日 足抜け:去っていく同僚たち
第4章 お金に教えられたこと
某月某日 あんた責任取れんの?:時代は法令遵守
某月某日 様変わり:改正貸金業法完全施行
某月某日 弁護士センセイ:味方ですか? 商売ですか?
某月某日 返済能力:消費者金融業界を去る
某月某日 「もう無理だよね」:義母からの電話
某月某日 個人再生:それでも生きていく
あとがき――足るを知ること
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版