心理学者・笠原敏雄さんが提唱する「幸福否定理論」をやさしく一般向けに解説した新書です。心の奥底に潜む真理を知りたい方へ。
POSTED BY寺崎
あなたの「不幸」は「心に潜む悪魔」が原因だった!
マリッジブルー、マタニティブルー、引っ越しうつ病……本来、幸せなはずの状態で引き起こされる
こうした心の病から、重度の精神疾患まで。
あるいは次のような身近なケースもすべて
「幸福を否定する心の悪魔が原因」と指摘されて
あなたは、はたして信じられるでしょうか?
(1) なにをやっても三日坊主で終わってしまう
(2) どうしても自分の部屋を片づけられない
(3) 厳しく叱責されても遅刻グセが治らない
(4) 締切り間際にならないと絶対に手がつけられない
(5) 勉強しようとすると必ずゲームをしたくなる
(6) 本屋さんへ行くと便意を催す
もちろん(1)~(6)の問題を
本気で治そうと思って医者にかかる人もいないでしょう。
しかし、たとえば冒頭に掲げた
「結婚に伴うマリッジブルー」あるいは
「妊娠に伴うマタニティブルー」が原因で
結婚が破談、または離婚に至るケースも少なくありません。
最愛の人とうまくいかず
不幸な結婚生活を選択してしまう人も多いことでしょう。
さらには、子供の虐待を繰り返してしまうケースなどまでもが
その原因に「幸福否定」があるとすると、
けして無視できないのではないでしょうか。
著者は40年以上におよぶ心理療法の臨床体験から
こうした生活に身近な事例から
統合失調症といった重度の精神疾患までに至るすべての原因に
「幸福否定」という心のしくみが潜んでいることを
明らかとさせつつあります。
この「幸福否定」という心の構造。
なにも、精神科に通う人だけの問題ではありません。
じつはわれわれすべての人間に普遍的に備わっているのです。
本書では、心の専門家がこれまで取り上げることのなかった
こうした問題をコンパクトにまとめました。
「幸せになれない病……」
「じゃあ、いったいどうしたらいいの?」
どうか、ご安心ください。
本書第4章で紹介する「感情の演技」という手法を実践することで
あなたの「心の悪魔」を退治することができます。
目次
第1章 身近な出来事に潜む"幸福否定"締切りまぎわにならないと手がつけられない
このうえなく強い抵抗の力
なぜか、絶望的に「片づけられない」人たち
片づけができないのは、技術の問題ではない
「遅刻魔」に共通するふしぎな特徴
プラス思考の難しさ
「自分がしたいこと」を実現するのは、とてつもなく難しい
専門家はこのような現象をどう見るか
世に蔓延する「幸福を怖がる症候群」
幸福をじゃまする「楽しさ」という名の悪魔
"幸福否定"という驚くべき心のしくみ
人間は「幸福感」を巧妙かつ確実に遠ざける
現代の定説「ストレス理論」は万能か
歴史的に繰り返される脳神話
「いちばんの幸福」は常に隠される
第2章 本当の幸福を否定する心のしくみ
心の3層構造
「幸福になってはいけない」と願う人たち
なぜか自尊心の低い自己像を作りあげてきた人類
感情には起源の異なる2種類がある
会議で眠気が出るのは「内心」のしわざ
幸福な感情を作らせないようにする心のしくみとは
幸福否定における反応と症状の特徴
心の力によって作られる反応や症状
あらゆる心因性疾患や行動異常の心理的原因となるもの
心理的原因を探り当てたときの変化
「対比」という現象
新型うつ病の心理的メカニズム
特殊な対比――"ペットロス症候群"
心因性の症状は幸福のありかを知らせる"指標"
第3章 "幸福否定"から見た異常行動や症状のしくみ
幸福否定という考えかたはどこまで当てはまるか
幸福否定のさまざまな現われ
幸福否定による現象① 課題の解決を先送りする
幸福否定による現象② 自分の進歩や成長を嫌う
幸福否定による現象③ 自他の愛情を受け入れようとしない
幸福否定による現象④ 反省を避ける
反省の本質とは?――麻原彰晃と林郁夫の事例から探る
反省を避けようとするのはなぜか
第4章 幸福を素直に受け入れるための方法──"感情の演技"
私の心理療法の目的と方法
"感情の演技"によってどのような変化が起こるのか
仕事に関係して起こる変化
私生活の中で起こる変化① 行動的側面
私生活の中で起こる変化② 心理的側面
感情の演技のやりかた
感情の演技の典型的経過
感情の演技を効果的に行なうコツ
感情の逃げ道をふさいでイメージを描く
心理的原因を絞り込んでいく方法
感情の演技がもつ力
「反応」がもつ重大な意味
内心がしかける「幸福否定」のための隠蔽工作
あまりにも強く抵抗する内心の力
本当は喜ばしい好転を否定するのはなぜか
意識で納得できる心理的原因は無意味
無意識に潜む真の心理的原因を探り出すためのヒント
心理的原因を突き止める――心因性の発熱の事例
「本当にしたいこと」を探り出す方法
第5章 従来の人間観を覆す幸福否定理論
科学の世界で待ち構えている悪魔の誘惑
「超常的現象に対する否定的態度」は科学者の自己欺瞞
科学的理論としての"幸福否定"
革命的な治療理論との出会い
史上最大級の発見をした小坂英世の功績
専門家はなぜ、小坂療法を徹底的に拒絶したのか
驚異的な成果をあげていた小坂教室
目まぐるしい展開をみせる小坂理論
反応を唯一のコンパスとした冒険
自分の意識を説得する手段としての「症状」
内心の抵抗と超常現象
ストレス学説に代わるあらたな考え方
幸福否定の普遍性
著者について
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笠原 敏雄(かさはら・としお) 1947年生まれ。早稲田大学第一文学部心理学科卒業。小樽市の医療法人北仁会石橋病院心理科、大田区の医療法人社団松井病院心理療法室に勤務の後、1996年4月、品川区に〈心の研究室〉開設、現在に至る。著書に『隠された心の力』、『懲りない・困らない症候群』(『なぜあの人は懲りないのか困らないのか』として再刊)、『幸福否定の構造』(以上・春秋社)、『希求の詩人中原中也』(麗澤大学出版会)、『本心と抵抗』(すぴか書房)、『加害者と被害者の"トラウマ"』(国書刊行会)、『超心理学読本』(講談社プラスα文庫)、編著書に『サイの戦場』(平凡社)、『超常現象のとらえにくさ』、『多重人格障害』、『偽薬効果』(以上・春秋社)、翻訳書に『がんのセルフ・コントロール』(共訳・創元社)、『前世を記憶する子どもたち 1・2』、『もの思う鳥たち』(以上・日本教文社)その他がある。
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