著者の肩書の1つが「音響心理学者」。音の物理的な量と心理的特性との関係を明らかにする学問領域だそうです。だからこそ、書くことができたのが本書であり、まったく新しいアプローチの心理系の本になります。「騒音」であればイメージしやすいのですが、そうとはいえない「音」が、ストレスやイライラなど、心の不調の原因になっているというのは驚きでした。そして、それらを改善させるための2つのメソッドがとてもカンタン! これを覚えれば、間違いなくQOLが上がるはずです。本書に記されたQRコードやURLから聞ける特殊音源もぜひ聞いてください。
POSTED BYかばを
心の不調の原因は「音」にあった! 聞くだけで心が晴れる特殊音源付き!
ストレスやイライラ……、そんな心の不調の原因のほとんどが「音」にあります。音に関係なさそうな心身の不調でも、よくよく調べると、音がネガティブな心理面を増長させている場合が多々あるのです。
どうしてそういえるのでしょうか?
現代人の多くは、視覚ばかりに気を取られ、目に神経を集中して情報を得ています。それに比べ、音を聞くことに注意を払う人は多くありません。 会話や音楽のような「目立つ音」には価値を置く一方で、物音や自然音な耳は、まぶたのように閉じることができません。刺激の強い音が耳に入っても、防ぎようがないのです。 そして、ネガティブな音の刺激を脳に入力し続けば、イライラや疲れなどの心理状態を引き起こしやすくなります。
そこで本書では、次の2つの簡単な音のトレーニングを実践していただくことで、心身の不調を改善していただきます。
■ アンテンション・メソッド
音への注意を切りかえることで、お過剰な音の刺激を遠ざける方法。
視覚で説明すれば、視点を変えることに該当する。
■ マスキング・メソッド
イヤな音に別の音をかぶせることで、心理的に不快感を減らす方法。
本書では、各症状に適切な15の音源を制作し、QRコードやURLの入力でパソコンやスマホ、タブレットなどの端末で聞けるようにしている。
耳鳴り、騒音、HSP、不眠、発達障害も改善!
本書では2つのメソッドと15の特殊音源を使って、以下のような症状や不定愁訴といった不調を改善・消し去る症例別の音トレを具体的に解説しています。音が原因の不調には、「音の聞き方」や「特殊音源」が驚くほど効果的です。
ぜひ試してみてください。
症例1 耳鳴り うまく耳鳴りと共存するために
症例2 騒音 注意をそらすか、目立たなくするか
症例3 うつっぽい 心理状態をニュートラルにする音環境づくり
症例4 HSP(繊細さん) 無理に押し殺さず、意識を休ませる
症例5 不眠 寝室の感覚環境を整える
症例6 聴覚過敏 聴覚を育て、イヤな音を注意分散する
症例7 発達障害 注意力を別のターゲットに分散
症例8 デジタル疲労 休息時の音の聞き方で改善
症例9 緊張感 注意の切りかえと、いざというときの準備
目次
まえがき 不調を生み出す音から自分を守るプロローグ すべてのベースは「音の聞き方( 音トレ)」にある!
第1章 ネガティブな気持ちを整える音トレの心理学的効果
第2章 イヤな音をシャットアウトする2つの音トレ
第3章 どんな不調も消し去る9つの症例別音トレ
第4章 じぶんを高めるポジティブな聞き方
おわりに 音の選択で人生が変わる
付録 マスキング音の詳解
著者について
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音響心理学者・京都精華大学教授・京都芸術大学客員教授・環境音楽家(JASRAC会員)・背景音プロデューサー。
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1971年、京都府宮津市生まれ。大阪大学大学院(工学研究科・環境工学専攻)修了。博士(工学)。音楽だけではない「音」に注目し、それを教育・学問・デザインに活かす。学問の専門分野は、音響心理学とサウンドスケープ論。BGMや環境音楽の制作、河瀨直美監督の映画作品をはじめ、多数の映像作品への楽曲提供、音楽監督を務める。また、京都タワー・京都国際マンガミュージアム・京都丹後鉄道・耳原総合病院などの公共空間の音環境デザインも手掛けている。聴覚や身体感覚を研ぎ澄ませる、独自の音育(おといく)ワークショップも全国各地で実践。
著書にロングセラー『耳トレ!』シリーズ(ヤマハミュージックメディア)など。