「円安は日本にとって不利である」という論調が多いなか、「いやいや、これまでの円高×デフレの不況地獄から抜け出せるから円安はウェルカムだ」という見方もあり、そのどちらにも説得力があるように映りますが、ホントのところどうなのか、経済予測のプロフェッショナルとして評判のエコノミスト・村上尚己さんに書いてもらいました。
POSTED BY寺崎
「俗説」が蔓延る議論に終止符を打つ!
過去3年間続いた円安について多くのメディアが否定的な評価を下している。
「円安が国民の生活を苦しくしている」
「円安によって経済状況が悪くなる」
「円が安くなり国家の価値が下がる」
「円安により日本の産業が弱体化する」
こうしたニュアンスの評価が散見される。
しかし、2022年から24年まで進んだ円安は
「行き過ぎて」もいないし
「日本経済に悪影響を及ぼす」こともない。
「円安=悪」という論調は
無責任なメディアや一部の経済学者による俗説であり
明らかな誤解である。
そもそも為替レートは通貨の価値を示すが
いずれかもしくは両国の通貨価値が動けば変動する。
たとえば、米ドルの価値が高まると、
その分だけ相対的に円の価値が下がりドル高・円安になる。
じつにシンプルなメカニズムによって
為替レートは日々動いている。
為替レートを決めるのは
マネタリーベースの比率などであり
それらをコントロールしている
それぞれの国の金融政策である。
こうした単純な理論が正しく解説されないままに
円安悪玉論がまかり通っているのが現状だ。
2008年のリーマン・ショック後に
日銀による金融政策の失策により超円高を招き
2012年までデフレと円高の悪循環に
自ら陥ってしまったことは周知の事実である。
長いデフレ不況のトンネルを経て
アベノミクスから10年を経過して
再び日本経済は息を吹き返そうとしている。
いかに円安が日本経済にとって大きな効果を生んでいるか。
なるべく多くの資料をひもときながら
本書でじっくりと検証していく。
本書の内容
第1章 円安悪玉論を検証する第2章 日銀が犯した歴史的な大失政
第3章 円安の追い風を吹かせた米国経済
第4章 日本にとって円安と円高のどちらが有利なのか?
第5章 円安がもたらす7つの効果
著者について
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エコノミスト
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アセットマネジメントOne株式会社シニアエコノミスト。1971年生まれ。1994年東京大学経済学部卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアをスタートさせる。第一生命経済研究所、BNPパリバを経て、2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタンマーケットストラテジスト。2019年4月から現職。経済予測分析のプロとしての評価が高く、投資家目線で財政金融政策を分析する。著書『「円安大転換」後の日本経済』(光文社)、『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA/中経出版)、『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』(ダイヤモンド社)、『日本の正しい未来』(講談社)など。