日本人が忘れてしまった美
ベストセラー「スカートの風」から20年、呉善花は韓国と日本の文化について、これまで数多くの論評を発表してきた。
その中で、彼女に共通する思いは、
これまで反日教育を受けてきた感情からの脱皮だった。
それゆえに、日本の美点が飛び込んでくる。
呉善花は言う。
「来日して1年目。日本人はなんて親切でやさしいんだろう」
「2~3、4年目。日本人がサッパリ解らなく嫌いになる」
「そして5年目。やっと本当の日本の良さが解りだした……」
日本に魅せられ日本に帰化した著者が、
日本人が忘れてしまった「美しい伝統・文化」などについて優しく語っていく。
幅広い視点で、日本を語る
隣の国、韓国。同じアジア人として近いようで、その文化は180度違うと言っていい。
その中で、彼女が見いだした日本の文化とは、
自然と文化が互いに溶け合った曖昧な空間だった。
言いかえれば「生の文化」とも言える。
つまり、自然の情景描写が調和への道に照らし出されているという。
庭園美、茶道、生け花など、静かな自然の緊張感と
小さないのちの息遣いが存在している。
なぜ、これほどまでに文化が違うのか。
日韓の文化の違いも考証している。
- 夫婦別姓の韓国人と疑似血縁家族主義の日本人。
- 天子は選ばれる者と考える韓国人と 天皇を神々の直系と考える日本人。
- 半島国家の宿命を担わされる韓国人と海洋国家の日本人。
- ビジネスで偉い者は大局を考える韓国人と 社長でも細々とした仕事をこなす日本人。
- ルールある自由を窮屈に感じる韓国人と 規制の中に自由を見いだす日本人。
- 「風」を不吉なものと感じる韓国人と 「さわやかさ」を感じる日本人。
両国の文化を知る著者だからこそ、 日本の美風を感じるとともに、
日本は日本というものについて
もっと掘り下げて学びつくす必要があると提言する。
たとえば、環境問題などは、
日本人が持つ自然に対する考え方、
「内発的な変化」を生み出す力が必要としている。
住についても社会ネットワークについても同様で、
東洋的な自然観と環境問題が地球規模に結び付く。
そのために日本は理想を持つべきだという。
日本人が誇りを持てる、エールを贈る1冊。
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