フォレスト出版

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書籍

勝ち残りの思考と意思決定

戦略のためのシナリオ・プランニング

ロムロ ガイオソ 著/奈良 潤 著

3,080円(税込)
経営/マーケティング/セールス
戦略のためのシナリオ・プランニング
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企業の戦略学としての意思決定の方法論
「シナリオ・プランニング」

シナリオ・プランニングとは、企業の経営陣や国家の政策立案者などが、
未来に起こりうる「筋書き」を思い描き、問題解決のパターンを編み出し、
他社や他国よりも少しでも早く、勝つためのシナリオを実行するための方法論である。
かつて、ロイヤル・ダッチ・シェル社が、このシナリオ・プランニングを活用し、
オイルショックを乗り越え、しかも莫大な利益を上げることに成功している。
現在では世界のビッグ企業を中心に、ビジネス戦略を予測するうえで、
このシナリオ・プランニングが思考と意思決定の基盤となっている。
翻って、日本人は問題が生じてから粛々とそれを受け入れて耐える民族である。
それ故に、今後起こるであろう諸問題を事前に予期し、
自分たちをどのように守るかという現実的な戦略を考えることである。
そのためにも、シナリオ・プランニングのような、
問題解決に即時的に処理できる戦略的思考、意思決定論を学ぶ必要がある。
本書は、そうしたシナリオ・プランニングの方法論を
「理論と実践」の両者にわたって詳しく解説していく。



日本にとって火急の課題となりうる
3つのテーマでシナリオを描く

本書は原書“How to Win Every Scenario”の内容に加え、
日本の読者のために、第7章を加筆している。
というのも、原書で取り上げられているシナリオ検証が、
どれも日本の未来にとって重要となるテーマだからである。
1つ目は、「幹細胞研究におけるマーケットと倫理における問題」である。
これは、遺伝子組み換えの問題や昨今のSTAP細胞研究などが挙げられる。
2つ目は、「再生可能エネルギーの開発と環境問題」である。
これは言うまでもなく、原発における内外の世論が挙げられる。
3つ目は、「ウクライナ危機における東西及び欧州における国際問題」である。
国際紛争やテロ事件、または各国のカントリーリスクというものは、
企業にとって、リスクヘッジも含め未来のシナリオを描くべき需要な問題である。
以上から、第7章として日本が勝ち残るための戦略を提案している。
日本文化にも造詣のある著者の、
日本が多くの分野で世界のリーダー的地位を得てほしいという敬愛の念を込められている。



目次

日本語版への序文

第1部「舞台」「登場人物」「物語(=シナリオ)」を準備する
第1章 この本で学ぶシナリオ・プラニングとは?
・シナリオ・プランニングとは戦略的思考の道具
・3つのシナリオ事例から意思決定能力を身に付ける
・世界を傍観する視点

第2章 主体――国際舞台におけるさまざまな要因
・国際舞台の仮面に覆われた「登場人物」たち
・登場人物たちが繰り広げる「舞台(場)」
・事件は「時の流れ」の中で展開していく
・演じる者たちの「視点」が思考プロセスを形作る
・役者たちの役割――主体的な役者と二次的な役者
・本章のまとめ

第3章 国際舞台で勝つ国、負ける国
・戦略ゲームのシナリオが動き出す

ドイツについてのシナリオ考察
・ドイツが国際舞台で勝つとすれば……
・ドイツが国際舞台で負けるとすれば……

ロシアについてのシナリオ考察
・ロシアが国際舞台で勝つとすれば……
・ロシアが国際舞台で負けるとすれば……

ウクライナについてのシナリオ考察
・ウクライナが国際舞台で勝つとすれば……
・ウクライナが国際舞台で負けるとすれば……

米国についてのシナリオ考察
・米国が国際舞台で勝つとすれば……
・米国が国際舞台で負けるとすれば……
・本章のまとめ

第4章 シナリオ・プランニングの方法論――理論編
・未来を予測し、行動を取るための方法論
・物事の成り行きを把握する戦略的プランニング
・企業が意思決定するための方法
・「環境上のリスク」について
・「テクノロジー」における問題点
・「分断化」という問題点
・「不確定需要」における問題点
・「規制」における問題点
・「環境上のリスク」についてのまとめ
・戦略的にリスクをプランニングする
・シナリオ・プラニングがもたらす企業への恩恵
・シナリオ・プラニングの弱点
・シナリオ・プラニングが企業に与える影響
・シナリオ・プラニングにおける事例――最近の出来事から
・本章のまとめ

第5章 シナリオ・プランニングの方法論――実践編
・シナリオ・プランニングの道筋とは
・シナリオ・プランニング――工程段階

意思決定のためのステップ1――チーム構成
・シナリオとはテーマと観衆を理解すること
・未来に対するシナリオを生み出す
・シナリオ・プランニングする人材を役立たせる

意思決定のためのステップ2――競合上のデータを収集・分析

意思決定のためのステップ3――マクロ・データの収集
・どのような情報を入れるか――データ分類
・異なる情報元からデータを生み出す

意思決定のためのステップ4――シナリオを作成
・シナリオ作成のための根本的な要素

どうやってシナリオを作るのか?
・努力ではなく、発想力で作成する
・定量的・定質的なシナリオを作る
・規模的評価法から変化を考える
・シナリオの構成をまとめる

意思決定のためのステップ5――価値の付加
・今あるシナリオに付加価値を加える
・「ギャップ」「リスク」「機会」を認識する
・企業が抱える理想と現実のギャップを埋める
・本章のまとめ

第2部 実際にいくつもの「シナリオ」を思い描いてみる
第6章 シナリオ・プラニングを事例から学ぶ
・ビジネスにおける三つのシナリオ事例

シナリオ事例1-幹細胞研究
・希望か、倫理かの矛盾に満ちた幹細胞研究
・利益と将来性のジレンマ
・シナリオの構造――視点

幹細胞研究におけるシナリオ考察
・シナリオ1――最も望ましいシナリオ
・シナリオ2――中道路線のシナリオ(その1)
・シナリオ3――中道路線のシナリオ(その2)
・シナリオ4――絶望的なシナリオ
・情報収集、調査から世論の動向を見守る
・意思決定のための提言

シナリオ事例2――再生可能エネルギー
・環境上のリスクを再検討する
・シナリオ要因1――進行させるために重要な要素
・シナリオ要因2――企業間の競争
・シナリオ要因3――マクロ経済による成長
・シナリオ要因4――政策における連続性
・シナリオ要因5――技術の開発
・エネルギー開発におけるシナリオ
・2020年までのエネルギー開発のシナリオ――春
・2020年までのエネルギー開発のシナリオ――夏
・2020年までのエネルギー開発のシナリオ――秋
・2020年までのエネルギー開発のシナリオ――冬
・エネルギー開発におけるシナリオのまとめ
・シナリオ研究の限界
・再生可能エネルギー政策に対する提言
・再生可能エネルギー研究に対する提言
・エネルギー産業の実務家に対する提言
・エネルギー産業の理論家に対する提言
・再生可能エネルギーのまとめ

シナリオ事例3――ウクライナ危機
・有事における展開の予期
・ウクライナ危機における現状把握
・ウクライナ危機における「主体」を明確にする
・各国の視点から主体の行為を考える
・各国のメディアからデータ収集をする
・シナリオ要因から物語の進行と情報を見定める
・シナリオ要因1――覇権争いと勢力圏
・シナリオ要因2――経済成長率
・シナリオ要因3――2013年までの国境線
・シナリオ要因4――情勢不安における紛争の可能性
・ウクライナ危機のシナリオ1A――「現代西洋帝国主義権力」
・ウクライナ危機のシナリオ2 A ――「わが道を高速道路で行く」
・ウクライナ危機のシナリオ3 A ――「どうぞ、わが道を高速道路で行かせて下さい」
・ウクライナ危機のシナリオ4 A ――「ポロネーズ」
・ウクライナ危機のシナリオ1B――「現代西洋帝国主義権力」
・ウクライナ危機のシナリオ4B――「ポロネーズではなく、マヨネーズ」
・物語の「道標」が適切かどうか判断する
・どのようにして「道標」を解釈し、編集するか
・ウクライナ危機における提言
・ウクライナ危機におけるまとめ

第3部 シナリオ・プラニングで、日本が勝ち残るための戦略を考える
第7章 日本が考えるべきシナリオ・プランニング
・国際社会において、日本は「主体」となりうるか?
・「能」という視点から、シナリオ・プラニングを再検討する
・日本が導き出すシナリオ事例1――幹細胞研究
・日本が導き出すシナリオ事例2――再生可能エネルギー
・日本が導き出すシナリオ事例3――ウクライナ危機
・日本が世界で果たすべき役割

謝辞
翻訳者あとがき&解説
参考文献(原著版)
参考文献(最終章日本語版)

Author著者について

  • ブラジル出身。アメリカの経済学者、ビジネス戦略家。
    カペラ大学ビジネス大学院でPh.D.(管理学博士号)、アリゾナ州立大学でMBA をそれぞれ取得。
    インテル社で14年間ほど、技術者及びファイナンシャル部門長として勤務。
    現在、グランド・キャニオン大学及びウィルキーズ大学ビジネススクール准教授。専門は、計量経済モデル、競合情報分析、シナリオ・プラニング。『フォーチュン』誌が選ぶ500 社の企業のビジネスモデルを予測する仕事にも従事する。
    出版物は、米国競合情報分析協会、世界未来学会、ビジネス予測研究所、ビジネス戦略情報局、エグゼクティブ・マインド・エックスチェンジ、マーケット・リサーチ・サミット、フューチャー・トレンド会議など、アメリカ国内および国際的な学術界でも発表されている。アリゾナ州フェニックス在住。

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  • 意思決定学者。教育コンサルタント。1976年、東京都出身。高校卒業後、渡米。2010年、カペラ大学で教育学の博士号を取得。大学院在学中より、外資系企業就職の人材育成に携わる。現在、総合教育会社スカイビジネスの代表を務める。日本認知科学会、米国人間工学会、米国判断意思決定学会の各正会員。
    翻訳書に、『戦略のためのシナリオ・プラニング』(ロムロ・W・ガイオソ著/フォレスト出版)がある。

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