渋沢栄一の生涯、代表作『論語と算盤』、そして関連人物という3つの側面から、彼の思想を縦横に解説しました。また、図を多用しているので、感覚的にも理解しやすいはずです。類書と比べても、情報量の多さとわかりやすさはピカイチのはず。ところで、本書を編集する過程で、人物の評伝を読んで初めて涙しました。500もの会社設立に関与した経済人渋沢栄一ですが、本書の著者の齋藤孝先生が語るように、彼の最も評価されるべき偉業の1つに養老院(孤児や障害者のための福祉施設)の設立があります。当時は、「福祉にお金を使うことは無駄、怠け者を増やすだけ」といわれていたのですが、栄一はこの養老院の院長を死ぬまで50年もつとめあげるのです。しかも、病床にふせってもなお「子どもたちの将来の福祉を頼んだよ」と他者を気にかける。そして亡くなった栄一に対する児童たちの手紙が……涙なしには読めません。すごい人がいたもんだと、感激しました。
POSTED BYかばを
豊富なイラストや図とともに、「渋沢の人生」と「不朽の名作」を1冊で学ぶ
2021年にNHKの大河ドラマの主人公に、そして2024年に1万円札の肖像が渋沢栄一に変わります。しかし、あなたはどれだけ栄一のことを知っているでしょうか?
なぜ、栄一の著書『論語と算盤』は、不朽の名作として読みつがれているのでしょうか?
栄一は「日本の資本主義の父」と呼ばれ、生涯に500もの会社の設立に関わり、資本主義(商工業)の発達に尽力して、日本の経済の礎を築いた人物。
その①生涯、②代表作『論語と算盤』、そして③歴史的な関連人物の3つの側面から、縦横に渋沢栄一を掘り下げ、図やイラストを多用してわかりやすく解説します。
なぜ今、渋沢栄一なのか?
大企業による事業の独占、税金逃れ。富裕層がお金を増やす一方で、貧しい家庭が増え続ける格差社会……。こうした現在の日本を渋沢栄一が見れば、「私はこんな未来のために働いたのではない」と嘆くでしょう。
なぜなら、栄一は「道徳経済合一論」を唱え、経済活動で得た利益は、みんなでシェアする社会を理想としたからです。
しかし、本書の著者・齋藤孝先生は次のように語ります。
「今の時代にもう一度渋沢栄一に光が当たって、新しい1万円札を見るたびに『これから先、みんなが益するような社会にしていきたい』と願えば、日本はまだまだ明るい方向に発展していくことが期待できます」
ぜひ本書から、栄一の心の動き、強い精神、知力の働きというものを学び、日々の活動に活かしてください。
目次
まえがき なぜ今、「渋沢栄一」なのか?Chapter 1 『論語と算盤』がもっと面白くなる渋沢栄一の人生
Chapter 2 今だからこそ胸に刻みたい『論語と算盤』の教え
Chapter 3 渋沢栄一の関連人物から読む『論語と算盤』
著者について
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明治大学文学部教授。1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
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ベストセラー作家、文化人として多くのメディアで活躍する一方で、本業は、中学・高校の教員を目指す学生が履修する教職課程にて教鞭を執る「教師」であり、教員養成に力を注いでいる。
「教育における身体の研究」「コミュニケーション技法」「教育方法および授業のつくり方」「教師としての力量形成」を研究テーマとし、ハードかつハイテンション、超実践的な授業で、教員を志す学生たちから、熱い支持を得ている。NHKEテレ「にほんごであそぼ」総合指導。
『声に出して読みたい日本語』(草思社/毎日出版文化賞特別賞)をはじめ、『三色ボールペンで読む日本語』(角川書店)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス/新潮学芸賞)、『座右のゲーテ』(光文社新書)、『質問力』(筑摩書房)、『1分で大切なことを伝える技術』(PHP新書)、『齋藤孝の大人の教養図鑑』(講談社)、『原稿用紙10枚を書く力』(大和書房)、『大人の読解力を鍛える』(幻冬舎新書)、『誰も教えてくれない人を動かす文章術』(講談社現代新書)、『雑談力が上がる話し方』『話すチカラ』(ともにダイヤモンド社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『頭のよさとは「説明力」だ』(詩想社新書)、『小学生なら知っておきたい教養366』(小学館)、『君の10年後を変える言葉』『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』『10歳からの伝える力』(ともにフォレスト出版)など著書多数。