20年前にベストセラーとなった不朽の新書を単行本にリメイクしました。いまなお、いや、すべてがデジタルないまだからこそ、最強の武器となる3色ボールペン。私もこの本をきっかけに3色ボーペン(実際は4色+シャーペンですが)を買って、情報活用テクを日々磨いております。
POSTED BY寺崎
すべての情報は3色に分かれる!
読解力の向上を図り、さらにはコミュニケーション力を鍛える実践的読書法として、かつて一世を風靡したのが、ベストセラー作家・齋藤孝による「3色ボールペン方式」だ。赤・青・緑の3色方式は、からだに身につける「技」であり、技は脳を真に鍛える。
本書はそれを「情報活用術」として昇華させたものである。
応用範囲の広いこの技は、読書法に限らず、文章力、話術、速読術といった現代人に欠かすことのできないスキルをも向上させる。
それだけではない。
3色ボールペンの活用が人生に与える効用は計り知れない。
【3色ボールペン方式の効用】
◎会議資料などのテキストを瞬時に咀嚼して理解できるようになる
◎あらゆる情報ソースからアイディアを引き出して活用することができる
◎主観と客観を明確にコントロールできるようになる
◎感覚や発想が鋭敏になる
◎メモを取る力が劇的に向上する
◎「聞く力」と「書く力」が格段に上がる
◎3色ボールペン手帳術によるタイムマネジメントの改善
「3色ボールペンの威力は、威力を信じて使った人にははっきりとわかる。私がこんなにこの道具にこだわるのは、これが脳の働き方を鍛えるからだ。主観と客観をスイッチし、優先順位をクリアにする。情報の目的は、最終的には使えるアイディアを生み出すことにある。整理のための整理では、スポーツにおjける練習のための練習と同じだ。なんとしてもヒントをつかむという攻めの姿勢が情報活用のカギだ。3色ボールペンは、この攻めの構えを習慣化させる。」
(「旧版 あとがき」より)
本書で提唱する3色方式情報術は、きわめてシンプルだ。
情報を読むとき、あるいはメモなどに書き留めるときに、3色の色分けをする。その3つの色とは、赤・青・緑である。それぞれの色は、以下のように区別する。
赤――客観的に見て、最も重要な箇所
青――客観的に見て、まあ重要な箇所
緑――主観的に見て、自分がおもしろいと感じたり、興味を抱いたりした箇所
「3色ボールペンメソッド」を身につけると、最終的には3色ボールペンがなくても、あらゆる情報を瞬時に峻別できるようになる。IT(情報技術)・AI(人工知能)が発達する情報化社会において、これほど強力な思考の武器はほかにない。
IT技術が社会的なインフラとなり、生成AIの出現が世を騒がせているデジタルな時代だからこそ、溢れる情報を制し、最大限に活用するアナログな武器として、3色ボールペンがこれまで以上に存在感を増すだろう。
本書の構成
序章 デジタル時代こそ「3色ボールペン感覚」が必須スキルとなる大量の資料を「自分のもの」にする
情報を「ろ過する」ための3色ボールペン
3色ボールペンという武器で情報に挑む
スケジュールを3色で切り分ける
「緑の感性」こそが情報社会で活きてくる
AIに思考を支配されない感性を育む
忘れられつつある「手書き」の威力
情報に流されない身体感覚をつかむ
第1章 なぜ「整理法」ではダメなのか
「活用」してこそ情報だ
役に立たなかった膨大なカード
整理して活用ではなく、「整理=活用」に
情報は「お蔵入り」させては意味がない
誰でもできるが、自分しか活用できない
自分の〝内側〞に取り込む
料理でいえば仕込み段階
きれいな資料である必要はない
腐らせない、力みすぎない
自分で生み出すトレーニング
自分で育てていく樹
第2章 3色方式とは何か
赤・青・緑の使い分け
なぜ3つに分けるのか?
なぜ赤・青・緑なのか?
黒は判断停止の色
脳に覚悟を促す!
「技」にする、「技」を磨く
緑は香辛料、加える量を間違えないこと
第3章 くぐらせる――情報との出会い方
自分をかかわらせる
情報とは一期一会
「くぐらせる」とは?
仕事に活かす青と緑のバランス
主観・客観の文脈をクロスさせる
「引っかかる」感覚は磨けば光るが、さびもする
勘や感覚を技化させるためには
女性のほうが発想が柔軟
無理だと思うところにチャンスあり
情報をテキスト化する
テキストを探そう
捨てるかどうかは緑で決める
筆記する力
ノートを取るということ
メモはどうやって取るか?
聞く力を育てる
メモから生まれるアイディア
3色バランスでプレゼンテーション
第4章 立ち上がらせる――情報を立体化する
関心のアンテナを立てる
キーワードを丸で囲む
キーワードの見つけ方
「つかまえてやるぞ」という意識
キーワードがレジュメに早変わり
会議のレジュメ活用術
ビジネスパーソンに求められる「要約力」と「再生力」
構造的に理解できるか
「文章化←→図式化」の技
生産性を劇的に向上させる「3色手帳術」
時間を3色で切り分ける
1週間をシミュレーションする
先手必勝の仕事術
手帳のメモ欄の使い方
ひとコマ90分でメリハリをつける
限られた時間をフル活用するには
第5章 編み出す――情報からアイディアを生む
緑を重視してきたのはなぜか?
すべてのアイディアの源泉は緑
緑を発揮するポイントを工夫する
どこを「まねる」かの切り口が大事
具体的なアイディアが現実を変える
異種配合は最強の技――引用力
資料を仕込むコツ1
資料を仕込むコツ2
異なるものを結びつける
練習問題
※本書は2003年6月に角川書店(現・KADOKAWA)から刊行された『三色ボールペン情報活用術』を改題・加筆および再編集したものです。
著者について
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明治大学文学部教授。1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
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ベストセラー作家、文化人として多くのメディアで活躍する一方で、本業は、中学・高校の教員を目指す学生が履修する教職課程にて教鞭を執る「教師」であり、教員養成に力を注いでいる。
「教育における身体の研究」「コミュニケーション技法」「教育方法および授業のつくり方」「教師としての力量形成」を研究テーマとし、ハードかつハイテンション、超実践的な授業で、教員を志す学生たちから、熱い支持を得ている。NHKEテレ「にほんごであそぼ」総合指導。
『声に出して読みたい日本語』(草思社/毎日出版文化賞特別賞)をはじめ、『三色ボールペンで読む日本語』(角川書店)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス/新潮学芸賞)、『座右のゲーテ』(光文社新書)、『質問力』(筑摩書房)、『1分で大切なことを伝える技術』(PHP新書)、『齋藤孝の大人の教養図鑑』(講談社)、『原稿用紙10枚を書く力』(大和書房)、『大人の読解力を鍛える』(幻冬舎新書)、『誰も教えてくれない人を動かす文章術』(講談社現代新書)、『雑談力が上がる話し方』『話すチカラ』(ともにダイヤモンド社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『頭のよさとは「説明力」だ』(詩想社新書)、『小学生なら知っておきたい教養366』(小学館)、『君の10年後を変える言葉』『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』『10歳からの伝える力』(ともにフォレスト出版)など著書多数。