「お客を選べない仕事」
路線バス運転士が描ききる、
車内と車外のいびつな風景
――運転手の分際で!
どんな職業でもそうだろうが、仕事が充実して幸せだった時期も、そうではなかった時期もある。悔しくて眠れないほど嫌な体験もしたし、この仕事に就いてよかったと心から思える出来事もあった。
路線バス運転士として働いて見えてきたのは、それまで乗客として眺めていたのとはずいぶんと違った光景だった。
――本作に描くのは、すべて噓偽りなく、私が実際に体験した事実である。
もくじ
まえがき――「なんでわざわざ運転手に?」
第1章 バスドライバー、その哀しき日常
某月某日 クラクション:変なやつにからまれて…
某月某日 敬老パス:車内は年寄りだらけ
某月某日 単調な毎日:バスドライバーの日常
某月某日 社内派閥:面倒すぎる人間関係
某月某日 「はーい」:不思議なセッション
某月某日 舌打ち:不思議と耳に入ってくる
某月某日 ギアチェンジ:「何かあってからじゃ遅い」
某月某日 番長の因縁:パッシング事件
某月某日 トイレは我慢:頻尿「防止」大作戦
某月某日 車椅子:シニアカーでも乗れますか?
某月某日 高校教師を辞めたワケ:憧れの仕事
某月某日 「好きにすれば」:47歳、バスドライバーに
第2章 愉快でアヤシイ乗客たち
某月某日 有効期限切れ:乗車証をめぐる攻防
某月某日 バスオタクが好きな席:カシャ、カシャ、カシャ!
某月某日 朱に交われば赤くなる:問題ドライバー
某月某日 喫煙所の密談:番長派閥に入らぬ者は…
某月某日 迷子:「月が見えます」
某月某日 ピンポーン:降車ボタンは誰が押す?
某月某日 副業がバレて…:ついに解雇通知
某月某日 高齢ドライバー:踏み違え事故
某月某日 朝っぱらから夜中まで:「開放」と「大開放」
某月某日 班長になる:輝けるバスドライバー人生
某月某日 ミニスカートの中身:深夜、終点にて
某月某日 人格者:組織は変わる
某月某日 あとの祭り:経路間違いしたときは…
某月某日 バイク事故:家族との溝と絆
第3章 バスドライバーだって人間だもの
某月某日 新所長、着任:「やる気あんのか!」
某月某日 バカップル:別れのロケ地
某月某日 バスを止めるな:おかしな人の、おかしな質問
某月某日 おごり:所長はご満悦
某月某日 見つめる男の正体:懐かしい再会
某月某日 運転手の分際:頭の中を占拠した言葉
某月某日 10メートルオーバー:クレーム電話
某月某日 乗務停止処分:「班長を降りろ」
某月某日 左遷:運行停止、本社教育
第4章 さらば、愛しのバスドライバー
某月某日 新天地にて:気弱な彼の脂汗
某月某日 歌謡コンサート:桜のトンネルで
某月某日 マスク着用のお願い:コロナ対策悲喜こもごも
某月某日 鳥・猫・蚊・蝶:人間以外のお客さま
某月某日 残念な知らせ:「あんたのことは信用していない」
某月某日 退職:一過性脳虚血発作という診断
某月某日 59歳、ハローワーク:私に何ができるだろうか?
あとがき――偉くもなく、華々しくもない人生
【発行】三五館シンシャ/【発売】フォレスト出版