ずいぶん前から飲食業界は不振と言われ続けており、開業するお店は多いもののその大半が1~3年で販売不振で廃業しています。しかし、2020年のコロナ禍を乗り越えてからは、インバウンド客の復活→増加、さらにはインフレ率と賃金の上昇といった景気回復(デフレ脱却)により、飲食店経営を取り巻く環境は大きく改善されました。
そんな今、飲食店経営を成功させるためには、これまでの「普通の料理をなるべく安く提供する」ことではなく、「価値の高い商品をそれに見合った価格で提供する」ことです。今のお客様が求めている「安い料理」ではなく、「質の高い料理(=質の高い飲食体験)」だからです。
それを実現したお店だけが生き残り、繁盛することができます。
そのためにやるべきことを、1冊に凝縮しました。
飲食店関係者の皆様のお役に立てれば幸いです。
POSTED BY貝瀬
儲けたければ、基本に立ち返る
飲食店の売上を算出する基本公式は、皆さんもご存じの通り「客数×客単価」です。つまり、「圧倒的に客数を集めるか、圧倒的に販売し切るか」で売り上げを獲得するのが飲食ビジネスであるということです。このいずれか(または両方)を達成できれなければ、残念ながら継続をあきらめるしかありません。事実「販売不振」による倒産は飲食店の廃業理由の8割超となっています。ここで、客数と客単価について改めて考えてみましょう。
まず「客数を集める」には、「魅力的なお店」であることが必要です。そうでなければ、わざわざお客様は来店してくれません。
そして、「魅力的なお店」であれば、自然とお客様はたくさん集まりますし、食事を楽しんでいただけるので消費量は増えます(客単価が上がります)。
つまり、商売繁盛の出発点は「魅力的なお店」作りということになります。
「このお店に行ってみたい」と思わせるには?
では、どうすれば「魅力的なお店」になれるのでしょうか?それには、まず
「①圧倒的にコストパフォーマンスが高い魅力的な商品を提供する」
「②商品の魅力をビジュアルと文字情報でしっかり伝える」
の2つが必要です。
ここで言う「コストパフォーマンスが高い」は、「安く売る」ということではありません。
「商品の価値が高いにもかかわらず、価格はさほど高くない、それどころか、安く感じる」ということです。
最初にくるのは価格ではなく「商品価値の高さ」です。
であれば、真っ先に取り組むべきは、他店にはない、自店独自の「圧倒的な高付加価値商品」を開発することです。
そして、商品の魅力をビジュアルと文字情報(開発ストーリーなど)とともに発信し、適正価格(原価にお店の利益をしっかり乗せた価格)で販売します。
そうすることで、あなたのお店は「とても魅力的で価値の高い商品をお手ごろな価格で提供する、圧倒的にコストパフォーマンスの高いお店」として、お客様に認知されるのです。
さて、経営に失敗するお店のほとんどは、コストパフォーマンスを誤解しています。
つまり、「商品価値を維持したまま価格を下げれば、相対的にコスパが上がる」と考えてしまうのです。
これでは単なる安売りです。
安さ目当てのお客さまがわずかに増えるかもしれませんが、全体の売上・利益の両方が減ります。すると、お店の経営は苦しくなるに決まっています。
そうではなく、しっかり原価をかけて商品の価値を徹底的に高め、それにともない値段も上げて、しっかりお店の売上・利益もしっかり確保するのです。
たとえ値段が上がっても、それ以上に商品の魅力と価値が高くて、お客様が満足・納得してくだされば、「コストパフォーマンスが高い」「SNSでシェアしたい」「また来たい」と思われるのです。
つまり、商品価値とお店の魅力を圧倒的に高め、それに見合う価格設定にすることで「集客増」と「客単価アップ」を実現する――これが現代の飲食店の繁盛の法則です。
飲食業界歴40年超・繁盛店500店超をプロデュースした著者が指南
もちろん、これまで述べたことは「言うは易く行うは難し」です。具体的にどうすればよいのでしょうか?
どうすれば、他店にはない、圧倒的魅力的で、高付加価値を持商品を開発できるのか?
どうすれば、商品とお店の魅力を多くのお客さまに知っていただけるのか?
どうすれば、自分が売りたい魅力的な商品を狙い通りに売ることができるのか?
どうすれば、新規集客増とリピート客育成ができるのか?
本書では、飲食店経営者の皆さんが抱くこうした疑問に対する答えを、飲食業界歴40年超・繁盛店500店超をプロデュースした須田光彦さんが、「25個の法則」という形で解説します。
お店を繁盛させたい飲食店経営者の方たち、あるいはこれから飲食店を開業したいとお考えの方たちにぜひともお読みいただきたい、飲食店経営の指南書です。
気になる本書の内容
本書の内容は以下の通りです。Introduction
これからの飲食店経営に必要な収支構造
第1章 商品と価値の法則
法則1 間違った値下げの法則
――「お客さまは安い商品を望んでいる」は致命的な勘違い
法則2 コストパフォーマンスの法則
――コスパ向上と単なる値下げはまったくの別物
法則3 数字が持っている説得力の法則
――「世間の相場」に流されて安売りしない
法則4 予算感の法則
――お客さまは無意識に支払う金額を予想している
法則5 ポジショニングの法則
――客単価を上げるとお店のポジションも上がる
法則6 ストーリーの法則
――商品価値を爆上げするストーリーの語り方
第2章 ヒットの法則
法則7 非常識な価値創造の法則
――「業界の常識」「世間の価値観」を突破する
法則8 価値基準の法則
――みんなが誤解している業界標準「原価率30%」
法則9 ヒットの法則
――お客さまの潜在的な「不平・不満」を解消する
第3章 メニューブックの法則
法則10 メニューブックの法則
――メニューブックを優秀な営業パーソンにする
法則11 3:4:6の法則
――販売比率を自由にコントロールする価格設定のやり方
法則12 価格感覚の法則
――お客さまは本能的に「高いものはいいもの」と感じる
法則13 視覚効果の法則
――「売りたい商品」を確実に売るための見せ方
法則14 3つのマイナスの感情の法則
――「損したくない」「騙されたくない」「後悔したくない」を突破する
第4章 セールスの法則
法則15 一番の法則
――お客さまは常に「一番いいもの」が欲しい
法則16 おすすめの法則
――売り込みではなくプレゼンテーションをする
法則17 セールスシステムの法則
――スタッフがお客さまを喜ばせたくなるように指導する
法則18 買いたい人から買う法則
――「おすすめ」の“最強”適任者はパート・アルバイト
第5章 集客の法則
法則19 自然集客の法則
――料理の価値と魅力を上げる盛りつけのテクニック×10
法則20 ブランディングの法則
――「コントロールされた情報」を提供して口コミを誘導する
法則21 リピートの法則
――また食べたくなる「味の設計図」の作り方
法則22 商圏設定の法則
――ご近所ビジネスを卒業して、圏外・海外を狙おう
第6章 商道の法則
法則23 ドリームキラーの法則
――間違った思い込みが自分の夢を殺す
法則24 コンセプト疲労の法則
――過去の成功体験にしがみつくと時代に取り残される
法則25 商道の法則
――「商法」は変化するが、「商道」は変化しない
著者について
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飲食業特化型プロデューサー
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業態開発・商品開発、設計・デザイン、コンサルティングまでをワンストップでサポートする。
1962年北海道生まれ。
16歳で現在の店舗総合プロデュースのビジネスモデルを考えつき、現場経験のために各種飲食店で働く。18歳で上京し、設計とデザインを学び、23歳で設計事務所に入社。初仕事で売上日本一の惣菜店を設計。28歳で起業。設計において業態を深く理解し分析し、顧客心理を踏まえた設計とコンサルティングの垣根がない設計手法を開発。 2008年リーマンショックによりクライアントサイドが資金調達に失敗、その影響でキャッシュフローが悪化し、1年で1億の未払い金が発生、2009年に倒産・破産・離婚を経験する。3年間自殺願望に悩まされていたが、外食産業への熱い想いから2011年に再起業。倒産の経験から多くの学びを得て、それ以降大胆なコンサルティング手法の導入によりクライアントの業績をV字回復させている。 2020年3月フォレスト出版より、『絶対にやってはいけない飲食店の法則25』を出版。
Amazonの外食産業部門において売れ筋ランキング1位を獲得。
これまでメディア出演多数。日本テレビの「有吉ゼミ」の「芸能人の心配な店」では芸能人が経営する飲食店を診断するコーナーにのべ8回出演。
今後は外食産業の成長にさらに寄与し、外食産業を40兆円産業にするのが夢である。