2012-05-15-17.41.30

Trippiece CEO 石田言行


旅情を誘うTOPページが印象的なtrippieceのサイト。

彼らの取り組んでいるビジネスは「ソーシャルトリップ」だ。

まだ会ったこともない人たち同士が、
共通のテーマを持った「旅」を媒介に出会い、体験を共有する。

「旅行代理店のツアーに行きたい旅がない」という
旅行商品へのギモンから始まったtrippieceは、
世界中の人たちを「旅」でつなぐ
まさにソーシャル時代の申し子と言えるスタートアップなのである。

「言行一致」という名前の由来


―「言行」っていうのは、どういう理由で付けられたんですか?

石田 実は僕の両親共に出版社で、言葉が好きでした。「言う」に「行く」っていう字で、言葉と行動から取られているんですね。この言と行っていう字は「言行一致」っていう言葉です。有言実行だと。
もともと僕自身がアメリカ人の血が8分の1だけ入ってまして、曾祖母ちゃんがアメリカ人なんですね。父がそこから付けました。名前とは後世までで人と違った名前がいいと。もう1つの理由が、意味がある名前がいい。3つ目の理由がインターナショナルな名前であること。父が、幼少のころに観た映画が、『007』だったんですね。

―ああ、イアン・フレミングだ。

石田 はい。ジェームズボンドから、イアンっていう音から決まったらしいんですね。イアンっていう名前は、海外ではもちろんメジャーなので、インターナショナル性があると。
次に言葉を合わせて、漢字の音をあてはめようとしたときに、どんなに辛くとも行動でいけ、そして、言葉が使えるならコミュニケーションを取っていけというところから、「言う」と「行く」という字をもらい、「イアン」というふうに名付けられたというのが由来です。

―こういう名前が付いてられたからには変な生き方できないですね。

石田 おっしゃるとおりです。僕の場合は名前が、強いアイデンティティになっているので、「有言実行」にはこだわりがあります。父がバドミントン全日本3位で、ナョショナルコーチや理事をやってるんですね。
祖父も僕は会ったことがないんですが、バドミントンの全日本のチャンピオンで、おそらく有言実行や、言行一致っていうものを、ポリシーにしてきた人なんだろうと。

そんな中、僕はバドミントンをやめているんですよね。ほんとうに大好きだったんですけど、やめてしまった。好きなことを裏切ったっていうのが、自分の中でも後悔というか……後悔という言葉ですらちょっと甘いぐらいの気持ちを抱えているんですね。

なので、今の生き方として、好きなことに対して嘘をつかない。好きなこととは真っ直ぐに向き合って、好きなことに対して嘘をつかない。約束したことは、行動に移して頑張っていこうというのが、基本的なスタンスとしてあります。

加納 石田さんにとっては、起業が先ですか? trippieceというアイディアが先なんですか?

石田 実は起業のほうが先です。かなり早い段階、中学生のころから、意識し始めました。
僕の場合、父や祖父が、追いかける対象だったんですね。でも父や祖父は、幼少のころからバドミントンをやっているので、正直な話、その時点でもう勝てないなっていうのがわかってきて、諦めてしまったんですね。

とはいえ、じゃあ何で彼らに勝てるかっていったら、あとはもうビジネスしかないみたいに考え始めました。ちょうど10年ぐらい前、2000年頃ですね。

―インターネット・ドットコムバブルのときですね。

石田 そうです。そのときちょうど12年前ですから、僕が10才の小学校くらいのときそういったものがあって、すごいなっていうのを覚えていたんですね。
僕が勝てるのは、ビジネスのサイドしかないだろうというところから、中学校の時には、気付いたら、社長になりたいなって、意識としてありました。

大学の旅がスタートアップのきっかけに


―いつごろですか、「trippiece」のアイディアを持ち始めたのは。

石田 中高一貫校だったので、高校から大学に入学したときから何か立ち上げてやろうという意欲を持っていました。大学受験もうまくいかなかったので、そこから大学1年の冬に友人たちと学生団体を立ち上げたんですね。
それが実はtrippieceに大きく寄与しています。それが「うのあんいっち」という団体です。世界中の子どもたちに写真を撮ってらもって、それを学生に発信して、興味を持ってもらった人に対して、NPO、NGOのツアーで参加してもらったりするような団体だったんですね。

加納 「うのあんいっひ」…あ~、これイチを並べてるんですね。「ウノ」がイタリア語でしょう。「アン」がスペイン語? 「イッヒ」はドイツ語だよね。

石田 そうです! NPO法人化もしました。大きな転機だったのは、その団体をやっていた背景で、大学3年の夏にバングラデッシュにソーシャルビジネスを学びに行ってみたいと思ったんです。
それでtwitterで募集をかけたら、10人ぐらいからリプライが飛んできて、僕も行ってみたい、って。そして、一緒にバングラディッシュのツアーを催行したんですね。

まず驚いたのは、人が集まるとは正直思ってなかったんですよ。18万円で、募集期間2週間しかなくて、「いやー集まんないだろうな」と思っていたら、18人集まってしまった。それは結果的にすごいなニーズあるなと思って。

加納 集客は主にSNSを使ったわけですか。

石田 mixiやFacebookやtwitterで告知をしてたっていう感じですね。
僕自身行くまでは、正直「いやー、まとめるの大変だろうな、旅楽しめるかなー」って思ってたんです。そうしたら予想に反して、すごく面白かったんですよ。
今まで旅行に行って、友人同士、これを見たら楽しいって共感して盛り上がるわけです。だけどもやっぱり興味軸が違う。でもここに来てる人たちって、「バングラディッシュでソーシャルビジネス」を見に来ているわけです。だから興味軸が同じなんです。

加納 どんな世代の方々が集まって?

石田 学生が中心ですね。20代前半。ほんとうに毎日、楽しかったんですね。
帰ったあとも、まあそのつながりがやっぱり生きていて、再会したりもしました。

その後、10月中旬ぐらいにNPOを引退して、そのあと年末にかけて何をしようかなって考え始めたんですね。

やっぱり独立してやっていきたい

加納 通常の選択として就職は考えられなかったですか。

石田 考えてなかったわけじゃなかったです。その時点では悩んでました。
自分は旅行が好きだったことから、そういえば僕ってゼロから旅を作るようなことをして来たな、その体験を活かしたほうがいいんじゃないかと思って、慶應大学のビジネスコンテストに申し込んだんですね。そこから今のtrippieceの原型を作ったのが、大学3年の時です。
そこから仲間を募って、実際のサービスを開始しました。結果的にはまってしまって。

ただ、知り合いの先輩から紹介を受けまして、1度だけ就職活動もしたんですね。そこが広告代理店で内定もいただきました。人事担当の方からは、起業を評価してくれて「会社の内部でも、そういうことやれる仕組みを作るからおいでよ」というふうなありがたい言葉もいただいきました。それでもやっぱり僕は独立してやっていきたいと思ってお断りしました。

―アジア進出についてはどうですか? 理想として言っておられるんですか、それともリアリティを持って言っておられるんですか。

石田 リアリティを持って言っています。

旅行という領域は、もともと情報や距離への必要性が非常に高い。そこに対してできる領域として、インターネットができることは大きいのでソーシャルデジタルサービスの海外展開は比較的容易だと考えてるんですね。

加納 ビジネスモデルとして考えたときに、お金は旅行者からもらいますというのは、一種のプラットホームを提供するという考え方ですよね。

石田 はい、僕らはあくまで旅行者同士が出会い、かつコミュニケーションが生まれるプラットホームの創造を目的にしています。

「行きたい旅に行けるようになること」それが、僕らのシンプルな目標です。
旅行ツアーは「売りたい旅」ばかりが前に立ってしまっているので、ちょっと違うと思うんですよね。世界のいろんなところがあって、これに行ってみたいと思ったら、やっぱり安く行けるようにしていきたい。それにはやっぱりある程度のニーズの量と、それに対する安定的な供給の仕組みを可視化することによって、繋ぎ止めていきたいと思っています。

ユーザーも、多様なニーズで溢れている

―― 日本の旅行会社の企画力を発展させるためにtrippieceが貢献することは多いんじゃないでしょうか。旅行会社は売りたい旅行を売っているという側面が多いわけじゃないですか。それがカスタマーとの間にミスマッチがあると思います。そこを埋められるのは、trippieceだと思うし、それにきちっと旅行会社サイドが答えられるかどうかって、大きいような気がしますね。これからを考えると。

石田 今の時代はもうユーザーも、より多様なニーズで溢れてきて、いかに現状とマッチングさせていくかっていうのが重要になってくるわけです。旅行会社の方も危機意識は持っているようです。

trippieceのようなサービスはオリジナリティのあるサービスと思っているんですね。難しいことに対してチャレンジしているなというのは、実感しています。

― 孫泰蔵さんと会って一番影響を受けたところはどこですか?

石田 孫泰蔵さんは、事業経験が豊富な方で、いろんなパターンを見ている方で、だめなポイントに対してかなりシンプルな処方を提示してくれます。
泰蔵さん自身が、僕たちの取り組みをまずいいと評価してくれて、事業経験の豊富さからきちんとアドバイスしていただけるんですよね。なので、ぶれなくて進めます。
「生徒」というより「先輩」として意見を仰いでます。

何もないところに走っているよりも、ゴールがあったほうが頑張れると思うんですよね。精神的に楽だと思うんでよね。それと同じで、ある場所に帰ったらある人がいるだとか、そういう感覚って、新しい道を作っていくアントレプレナーたちにとっては、もちろん重要だなと思いますし、客観的な意見を言ってもらえるのはありがたいです。

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